2006.06.04 原宿クエストホール
待ちに待った『Pop Meets Jazz vol.2』がほぼ定刻通りに始まった。 今夜のもう一方の主役で、「好きな音楽をやっていたら、それがたまたまジャズだった」と語るEAST QUEST QUARTETの「Lush Life」が始まり、ざわついていた客席を一気にジャズの世界へ惹き込む。 そしてこのイベントのオーガナイザーである西村が登場。イベントの趣旨を短く話した後、このイベントをスタートさせるキッカケになったともいえる楽曲「SARA」を演奏。何度かジャズアレンジでのこの曲を聴いているが、聴くたびに違う印象を与えてくれる。これがJazz Magicか!?
サクサクっと紹介が終わり、一組目のゲスト、杏子を招き入れる。M-1からいきなり名曲の「Happy Birthday」。期待が高まる中、ジャジーサウンドに杏子のハスキーボイスが絡む。しかも全然違和感なく、気持ちよく、楽しみながら歌っているのが伝わってくる。
M-3は掟破りのジャズのスタンダード曲「Lullaby of Birdland」。杏子曰く、このイベントの主旨には反すると反対されたが、どうしてもとゴリ押ししたという。それだけの価値ある、イベントの1シーンとなった。続く「情熱のアカデミックボーイ」ではエンジンのかかった杏子が赤いライトに照らされて踊りだす。
ラストは西村を呼び込み、「星のかけらを探しに行こうAgain」をデュエット。イベントならではのサプライズに客席は沸きあがる。ジャズアレンジがこの名曲にスパイスをかけてくれた。大きな拍手に混じって感嘆の溜め息が…。魅惑のハスキーボイスはジャズに良く合う!
続いて大歓声の中、玉虫色のスーツに身を固め登場したのが阿部義晴(ex-ユニコーン)。
紹介した西村にも目が痛いと会場を沸かす。原曲より跳ねたリズムのM-1「欲望」が始まると独自の世界観漂うステージに観客も息を飲む。
M-2「開店休業」はガラッと雰囲気を変えて、ロックンロール調のピアノをフューチャーしていてカッコよくキマる。2曲が終わり、阿部の開口一番は「ジャズって凄い!!」ピアノが前にない状態で歌うことがまずないので緊張すると言うが、それをまた楽しんでいる様子。
M-3「神の粒」ではフリースタイルから曲に入り、置いていかれる感を味わいながらのアレンジで度肝を抜かれた。どうだ!とジャズの凄さを思い知らされた。再び西村を呼びいれ、ラストの「セイリング」をデュオで聴かせてくれた。しかも2番はなんと西村が歌い、サビ前のロングトーンでは西村節発揮!!歌詞通り、「いい波が見えましたよ、阿部さん」とみんな思ったことであろう
休憩を挟んでお楽しみのトークタイム。
阿部、杏子、今夜ステージ初登場の森重樹一(ZIGGY)に西村と、“ありえない顔ぶれ”が並ぶ。同じ80年代から活躍している4人だが、個性が違いすぎて、あまり見ることの出来ない貴重な顔合わせに客席も大満足。
西村と阿部は何十年来の付き合いということで、若かりし頃の思い出話に盛り上がる。
杏子からは、昔どこかのイベントで森重と誰かがホテルの廊下で酒の飲み比べをしていたとか、他のバンドのメンバーがホテルのTVを投げたなど、OLからこの世界に入った杏子はロックバンドになるためには、それくらいしなきゃいけないんだ…と圧倒されていたなど、話は尽きない中、あっという間にトークタイムは終了。
西村だけがステージに残り、EAST QUEST QUARTETを呼びいれ、メンバー紹介。そして3組目のゲスト、ZIGGYの森重樹一がビール片手に白いスーツで登場すると会場からどよめきが…。さすが、BAD BOYS ROCKの立役者。スーツ姿も派手でカッコイイ!今回の出演者の中で一番ミスマッチな感じがしていた分、楽しみにしていた森重の1曲目「DON'T STOP BELIEVING」でライブ再開。ミスマッチどころか、ジャズビートに乗って、気持ちよくメロディがスウィングしている。
次の「君をのせて」では森重のボーカルがバックの演奏を引っ張っていく。「自分にとっていいものは様式とか関係ない。ロックバンドだからこんなお上品な雰囲気には似合わないと思ったけど、やるからには…白いスーツが着たかった」と言い、会場を沸かす。
M-4「I Want You Kiss Me All Night Long」では森重の歌が怪しくピアノに絡み、大喝采を浴びた。
そしてラストの「GLORIA」ではスローバラード風にアレンジされて、よりメロディアスさが強調される。森重が全身全霊を込めてラストにフェイクを入れる。EAST QUEST QUARTETのメンバーも負けずとプレイに力が入る。ロックとジャズが一つになった瞬間だった。熱いステージを繰り広げ、鳴り止まぬ拍手の後は、お待ちかね、今夜の素敵なイベントのホスト役でもある西村が登場。
「(森重の後で)やりづらいなぁ」と言いながらも新曲「そよ風の道標」が始まると、そこはしっかりと西村のジャズワールドに惹き込み、さっきまでの熱気をクールダウンさせてくれる。タイトル通りのそよ風を客席でも感じられたのでは。
続く2曲目は前回も披露しているので聞き覚えのある人も多いのでは。そしてあっという間にラストの「時の河」。アニメの主題歌だったこの曲をジャズで歌うのは初めてというが、ピアノとボーカルから始まり、やがてリズムが入り、ジャズテイスト満載。ラストの盛り上がりではまさに大河のごとく。鳴り止まぬ拍手が今夜の大成功を表していた。
そしてアンコールでは本日の出演者を呼び、これまたPOPSのスタンダード「Stand By Me」を全員でセッション。個性の違う4人の歌比べも実に豪華だ。客席からの暖かい拍手に包まれて今夜のイベントは終了。
音を楽しむのが音楽だという、原点を見直すことができた一夜だった。また、早くもVol.3が決まったようで、これからがますます楽しみなイベントになることだろう。
(文:貞真由美) (Photo by Itsuki)
杏子 阿部義晴(ex-ユニコーン) 森重樹一 (ZIGGY) 西村麻聡
EAST QUEST QUARTET Sax:高野正幹 Ba:藍沢栄治 Dr:滝幸一郎 Pf:青木弘武
| M1 | Lush Life | EAST QUEST QUARTET |
|---|---|---|
| M2 | SARA | 西村麻聡 |
| M3 | Happy Birthday | 杏子 |
| M4 | DISTANCIA~この胸の約束~ | 杏子 |
| M5 | Lullaby of Birdland | 杏子 |
| M6 | 情熱のアカデミックボーイ | 杏子 |
| M7 | 星のかけらを探しに行こうAgain | 杏子 with 西村麻聡 |
| M8 | 欲望 | 阿部義晴 |
| M9 | 開店休業 | 阿部義晴 |
| M10 | 神の粒 | 阿部義晴 |
| M11 | 立秋 | 阿部義晴 |
| M12 | セイリング | 阿部義晴 with 西村麻聡 |
| トークタイム | 西村麻聡/森重樹一/杏子/阿部義晴 | |
| M13 | DON'T STOP BELIVING | 森重樹一 |
| M14 | 君をのせて | 森重樹一 |
| M15 | 12月の風になりたい | 森重樹一 |
| M16 | I Want You Kiss Me All Night Long | 森重樹一 |
| M17 | GLORIA | 森重樹一 |
| M18 | そよ風の道標 | 西村麻聡 |
| M19 | Luv dominannt | 西村麻聡 |
| M20 | 時の河 | 西村麻聡 |
| EN | Stand By Me | 西村麻聡/森重樹一/杏子/阿部義晴 |